第二回
「肘鉄砲」

一度は消滅した技コラム:)
第二回のお題は「ヒジ鉄砲」

人体でもっとも堅い箇所、とされる「肘」。
接近戦最強と名高い中国拳法「八極拳」に於いても
「肘撃」は基本。

と言っても当「技コラム」は、あくまでプロレス中心。
プロレスに於ける肘鉄砲と言えば...

『エルボーと言えば三沢、三沢と言えばエルボー』

ドリー・ファンクJr.です。
(あの...三沢は?)

ドリーのエルボーは「エルボースマッシュ」、
ガクンと膝をつくようなモーションで
相手のアゴをカチ上げる肘鉄砲です。
元々はヨーロッパ、ランカシャースタイルのエルボーらしいですが
起源はよく解りません:)
なぜドリーがこれを使っていたのかもよくわかりません:)
それでもスピニングトゥホールドと並ぶ
ドリー独特のムーヴだったのは間違いありません。

今でも「無我」西村修選手とか
ケンドー・カシン選手、大森隆男選手なんかが
カチ上げるスタイルのエルボーを使っています。

カチ上げるエルボースマッシュ

という訳で三沢です。

現プロレスリング・ノア代表、三沢光晴選手が
全日本で2代目タイガーマスクをやめて三沢光晴に戻り
「超世代軍」を率いていた頃から、三沢の代名詞はエルボー。
もちろんフィニッシュのタイガードライバーもありましたが
とにかく三沢と言えばエルボー、エルボーと言えば三沢。
ちょっとエルボーすぎるくらい三沢です。

普通に右手で相手の頭を掴んで「エルボー!エルボー!」から始まり
回転する「ローリングエルボー」、フェイントで「逆回転ローリングエルボー」
マウントポジションからもエルボーエルボー、
場外の相手には空中殺法「エルボー・スイシーダ」
相手がヨレヨレになったら走り込んで「ランニングエルボー!」

山本小鉄氏が「使いすぎだ」と語るのも、やむを得ないくらい
三沢のプロレスはエルボーに満ちてるのです。


普通のエルボースマッシュ

もう1つ忘れちゃいけないのが
アブドーラ・ザ・ブッチャーの「毒針エルボー」。
毒針も何も、単なる走り込んでのエルボードロップなんだけど:)
ブッチャーの「必殺技」です。
単に「毒針」と言えば、もうブッチャーのエルボードロップのコト。
これもブッチャーには欠かせないムーヴです。

エルボードロップというのは
倒れてる相手の上にヒジを落とす技の総称、
思いっきりジャンプして落とすジャンピングエルボードロップは
ZERO-ONE代表、橋本選手も得意としています。
橋本も体重がありますから、うっかりすると相手がケガします。
(実際、小川直也は中途半端な体勢で受けて肩を脱臼)


エルボードロップ

コーナー最上段からの「ダイビングエルボー」は
より落差があってキツそう。

ダイビングエルボーといえば、
まずは、"マッチョマン"ランディ・サベージ
80年代のアメリカンプロレスの象徴的な存在だった
ハルクホーガンの宿敵ランディ・サベージ。
ド派手な衣装でコーナー最上からダイビングエルボーを
得意技としてました。カッコよかったなあ、ヒラヒラしてて。


現役選手では現・全日本プロレスの小島聡。

相手をコーナーに据えておいて、まずはランニングエルボー。
そのまま相手を転がすようにダウンさせて
決めポーズから

『いっちゃうぞバカヤロー!』

コーナーに登って、一瞬 足元を確認してから
ダイビングエルボー。

この「いっちゃうぞバカヤロー!」で小島はその地位を確立:)
もう小島が決めのポーズを取れば
観客全体から
『いっちゃうぞー!』

ダイビングエルボーそのものよりも
このセリフが一連の流れの主役です:)

コーナーからのダイビングエルボー、
他には天龍源一郎の「背面エルボー」 なんかもありますが
もはやダイビングエルボーと言えば小島聡だと思います。

というわけで、第二回技コラムは各種ヒジ鉄砲について、でした。
人体で最も堅い箇所、「ヒジ」。
これ、実際ヒジ打ちをしてみると解りますが
かなりリーチが短いんですよね:)
これを効果的に使うのは、けっこう高い技術が必要な気がします。



もどっちゃうぞバカヤロー!

 

追記
〜ヤバイ!忘れてた!〜

エルボードロップの進化形の有名な2つを忘れてました。

フラッシングエルボー
ピープルズエルボー

フラッシングエルボーは武藤敬司のエルボードロップ。
実に単なるエルボードロップなんだけど
そこは「天才」武藤敬司。
一瞬動きが止めて、首を左右に振りつつ
妙にバタバタしながら肘鉄を落とす武藤独自のムーブ。

その一瞬の静寂からバタバタっと動く様が
ストロボの連発(動きが飛び飛びに見える)を思わせるトコから
FLASHINGなんだそうです。

ピープルズエルボーはWWEのザ・ロックのフィニッシュ技。
肘サポーターを観客席に投げ込む決めポーズから
ロープワークを使って左右に走り回って
一瞬のタメから肘を落とすド派手な技。

この一瞬のタメ、明らかに武藤の
フラッシングエルボーから影響でしょう。
ただピープルズエルボーも肝は決めポーズと左右へのロープワーク。

これは視聴率戦争に突入していたWWFのTVショーでの
完全にカメラワークを意識したムーブ、
新世代の必殺技として注目を集めました。多分。
(多分ってなんだよ)